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和歌山県城下町の水辺の記憶をたどる!

和歌山県城下町の水辺の記憶をたどる!

 

①京橋

京橋は江戸期に和歌山城の正面入り口の京橋御門の前に架けられた橋で、大坂や奈良・京都へ続く街道の起点となっていました。この街道は現在の本町通りで、参勤交代で江戸に向かう際などに利用される重要なルートとなっていました。京橋御門の南側には紀州藩の重臣の屋敷が並ぶ三の丸があり、武士以外の橋の通行は禁止されていました。橋の北側には火の見櫓と番所があり、和服などの大きな商店が集まり人々で賑わっていました。  

②中橋

中橋は、江戸期に納屋河岸と和歌山城三の丸を繋いでいた橋で武士しか渡れませんでした。もともと鷺森別院の南門から和歌山城に続く道(現在より約50m西側)に架けられていましたが、戦災で焼け落ち、戦後の復興区画整理事業により1953年(昭和28年)に現在の位置に架け替えられました。その際、戦後の資材不足の影響か、元々他県で使われていた鉄道橋を移設したもので、鉄道の鉄橋らしい三角形が連なる構造体が、まちなかには珍しい特徴ある姿を見せています。現在も中橋を南向きに見ると、正面にお城の天守閣が見えます。  

③寄合橋

 寄合橋は、町人町の「内町」と「湊」をつなぐために、町方が架設費や維持費を負担して造られた橋です。三の丸を通行できない町民にとって、寄合橋は本町と城下南部を結ぶ幹線にある橋であり、寄合橋の東詰には火の見櫓や番所が、西詰には高札場が設けられていました。付近には昌平河岸という物資の荷揚場があり、賑わいの様子は紀伊国名所図会からも確認することができます。  

④藩校跡 ~南方熊楠を育んだ寄合橋界隈~

寄合橋の近くには紀州藩の藩校「学習館」がありました。現在は南方熊楠(1867-1941)の父が創業した南方酒造の後身として知られる「世界一統」の酒蔵があり、藩校跡の碑と南方熊楠に関する案内板が設置されています。その先の市堀川沿いでは、春には美しい桜並木を見ることができます。藩校のルーツは徳川吉宗が設置した湊講堂に遡り、十代藩主の徳川治宝が修築し「学習館」と名付けました。藩士だけでなく向学心のある一般庶民も聴講を許され、城下の人々の教育水準を高める役割を果たしました。  

⑤京橋親水公園

  2022年3月に、京橋と中橋の間の市堀川沿いに「京橋親水公園」が開園しました。このあたりには、江戸時代には、「納屋河岸」があり、多くの人々で賑わっていました。近年は市営駐車場となっていましたが、かつての水辺の賑わいを現代に取り戻すべく社会実験が行われ、親水公園として生まれ変わりました。  

まとめ

 市堀川沿いの寄合橋から堀詰橋の先(和歌川との合流点付近)までの両岸には遊歩道が整備されています。京橋親水公園や橋詰などに入口の階段が設けられ、水辺の遊歩道に降りることができます。開放時間は9時~17時となっており、誰でも歩くことができますが、一部通行できないところや、通り抜けができない区間もあります。
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