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老いるマンション、増えるタワマン、積み立て不足で大規模修繕や建て替えに暗雲

高経年マンションが直面する課題とは?

    国土交通省は2023年8月10日、「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」(以下、検討会)のとりまとめを公表した。 試算によれば、2022年末時点でマンションに住んでいる人の数は約1500万人。国民の約1割が分譲マンションに居住していると推計される。 2000年以降に急増したタワーマンションも、築年数が増えるにつれてメンテナンス費用の増加が見込まれる。  

マンションが直面する「2つの老い」

マンションは、主に都市部において主要な居住形態として国民に定着しており、総ストック数は700万戸に到達しようとしている。 先述の通り、国民のおよそ1割が分譲マンションに居住していると推計されるほか、「永住するつもり」の回答率は増加の一途を辿っている。 しかし、マンションは居住者と建物という「2つの老い」に直面している。  

管理組合役員の担い手不足が深刻

そもそも、マンション管理では区分所有者が管理組合の一員として責務を果たすことが重要となる。 このため、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(以下、マンション管理適正化法)などの見直し議論も見据えた検討を行っていくこととした。 ただ、区分所有者の高齢化などにより、管理組合役員の担い手不足が顕在化している。  

「管理」と「工事」の利益相反が発生

国交省が2023年2月~3月に実施した調査によると、管理業者が管理者に選任されているケースのうち、51%の管理業者が「管理者としての契約を結んでいない」と答えている。 また、76%が「管理組合保管口座の通帳と印鑑を管理会社で保管している」という。 管理者となっている管理業者が自社に工事部門を持っている場合、大規模修繕工事を受注して自社に発注することは、利益相反となる可能性がある。  

大規模修繕工事の発注をめぐる問題

管理組合は、大規模修繕工事の発注者となる場合がある。 大規模修繕工事の発注額は非常に高額となるにも関わらず、管理組合は必ずしも発注や工事監理に係るノウハウを有していない。 大規模修繕工事の発注・業者選定のルールを定めていない管理組合は48.0%に上る。 大規模修繕工事の発注方式は、「責任施工方式」と「設計監理方式」に大別される。  

超高層マンションのメンテナンス費用は高額化

高さ60メートル、20階以上の「超高層マンション」は、2000年代以降に建設が急増し、2021年末の累積棟数は全国で約1400棟に上る。 国交省の調査によると、超高層マンションでは、マンションの管理に係る区分所有者の合意形成について、管理を受託する管理業者の35%が「困難性がある」と回答している。  

まとめ

超高層マンションの実態調査を実施し、その結果を踏まえて、必要に応じて超高層マンションの管理等に係るガイドラインの整備などを検討する。 会計・業務監査のあり方については、専門家の活用を念頭に置く。超高層マンション特有の修繕項目及び工事費用の実態の把握を進め、必要に応じて長期修繕計画の作成に関するガイドラインへ反映する。 国交省は、今回のとりまとめをマンション政策全般に係る大綱とした。 2023年秋頃を目途に検討会の下にワーキンググループを設置し、「管理業者が管理者となる場合を含めた外部専門家の活用のあり方」をはじめ、主にマンションの管理面についての検討を進める方針だ。
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